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セイヨウミツバチの感覚受容器


藍浩之 (福岡大学理学部地球科学科)

ミツバチは1対の棍棒上の触角をもち、基部から柄節、梗節、鞭節に分けられる。多くの嗅覚、味覚、機械、温度、湿度の感覚子は、この触角上の鞭節に配置されている。鞭節の表面には、錘状感覚子、楯状感覚子、窩状感覚子、毛状感覚子が存在することが確認されている。一方、梗節の内部にはジョンストン器官が存在し、主に空気中の微粒子の振動をモニターする振動感覚子である。空気の振動によりジョンストン器官が直接刺激を受けるわけではなく、鞭節が振動することで、その基部に付着した有カン感覚子の群からなるジョンストン器官が、クチクラの歪を検出することで振動を検出する(Towne and Kirchner, 1989)。また、ミツバチは尻振りダンスにより仲間に蜜源へのベクトル情報を知らせることが古くから知られているが、蜜源への距離情報は羽ばたきによって生じる空気振動の長さに符号化されている。この振動の検出にもジョンストン器官が使われており、その振動応答特性が調べられている(Tsujiuchi et al., 2007)。一方、飛翔時に生じる空気流を検出することによる速度センサとしての働きも示唆されている(Srinivasan and Zhang, 2004)。

昆虫の複眼に関しては、色覚の研究にかなり詳しく調べられてきた。ミツバチは、花を検出するために紫外線に誘引される性質を持つ。一方、紫外線、青、緑の3種類の視細胞をもち(Menzel and Blakers, 1976)、これらの応答の比率で、300-600nmの範囲の色調を識別していることが学習実験で明らかにされている(Helversen, 1972)。また、ミツバチは複眼の背側に局所的に分布する紫外線受容細胞で、天空の偏光パターンを検出し、帰巣の際の方向知覚に利用している。一方頭部中央部に存在する3つの単眼は明暗を検出する視覚器である。



参考文献

Helversen, O (1972): Zur spektralen Unterschiedsempfindlichkeit der Honigbiene. J. Comp. Physiol., A (80): 439-472.

Menzel R and Blakers M (1976): Colour receptors in the bee eye-morphology and spectral sensitivity. J. Comp. Physiol. A 108: 11-13.

Srinivasan MV, Zhang S. (2004): Visual motor computations in insects. Annu Rev Neurosci 27: 679-696

Towne WF, Kirchner WH. 1989. Hearing in honey bees: detection of air-particle oscillations. Science 244: 686-688.

Tsujiuchi S, Sivan-Loukianova E, Eberl DF, Kitagawa Y, Kadowaki T. (2007): Dynamic range compression in the honey bee auditory system toward waggle dance sounds. PLos ONE 2(2): e234.


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