前大脳
Protocerebrum

前大脳の両側には大きく張り出した視葉がある.視葉は3または4個の神経叢から構成されている.左右の視葉にはさまれた前大脳中央域には,キノコ体と呼ばれる1対の神経叢がある.さらにキノコ体にはさまれた前大脳正中部には不対の神経叢である前大脳橋中心体があり,それらをあわせて中心複合体と呼ぶ.これらの密集神経叢の形や大きさ,配置は昆虫種により若干ことなるが,共通点も多い.視葉は視覚情報の処理,キノコ体は匂いの学習や記憶の形成など,中心複合体は行動出力の企画・選択・修飾などに,それぞれ関係していると考えられている.これらの密集神経叢の間や周囲には,前大脳側葉側副葉後傾斜などの非密集ニューロパイルが存在する.