昆虫の感覚系 戻る
Sensory Systems of Insects
昆虫の嗅覚受容

昆虫は主に頭部に付属する一対の触角により環境の匂いを受容する。触角上には感覚子と呼ばれる多数の突起状の感覚器が存在しており、嗅覚感覚子はクチクラ上に多数の嗅孔をもつ多孔性感覚子である。嗅覚感覚子の内部には複数の嗅覚受容細胞があり、匂い受容部位である樹状突起を感覚子内へ、軸索を中大脳にある触角葉とよばれる嗅覚情報処理の一次中枢へ伸ばしている(触角の項参照)。匂い分子は触角上の嗅覚感覚子のクチクラへの吸着、拡散を経て、嗅孔を通り感覚子内部へと入る。感覚子内はリンパ液(感覚子リンパ)で満たされているため、揮発性で水に溶けにくいフェロモンや匂い分子は、感覚子リンパ中に高濃度で存在するフェロモン結合タンパク質(PBP)または匂い結合タンパク質(OBP)と結合することで可溶化され、樹状突起膜上に発現する嗅覚受容体へと移行すると考えられている。また最近PBPはフェロモンの可溶化・移行の機能だけでなく下記に示す嗅覚受容体の活性化にも必須であるという結果が報告されている。結合タンパク質により可溶化された匂い分子が受容細胞の樹状突起膜上に発現する嗅覚受容体と結合すると、受容細胞の脱分極が引き起こされ、活動電位が発生し匂い受容シグナルが触角葉へ伝えられる。本項では、フェロモンと一般臭の匂い受容の分子機構を中心に最近の知見を紹介する。

昆虫は花や食べ物の匂いなどの一般臭とフェロモンを受容する2種類の嗅覚受容器を備えている。一般臭の受容器は特異性が低く、さまざまな匂い物質に応答を示す「ジェネラリスト」の性質をもつ。また、匂い応答スペクトルは受容器どうしで一部重複する。一方、フェロモン受容器は特異性が高く、リガンドと受容細胞は一対一で対応する「スペシャリスト」である。一般臭の受容器はショウジョウバエやゴキブリ、ミツバチでよく調べられており、応答スペクトルによりいくつかのタイプに分類される1-3)。

カイコガ(Bombyx mori)は1959年にはじめてフェロモンの化学構造が同定された種であり16)、これまでにフェロモン受容系のモデルとして多くの知見が蓄積されてきた。フェロモンの特異的な受容器は雄の触角に密生する毛状感覚子である(リンク)。フェロモンは主成分であるボンビコール(bombykol) [(E、Z)-10、12-hexadecadien-1-ol]と副成分であるボンビカール(bombykal) [(E、Z)-10、12-hexadecadien-1-al]から構成される16,17)。カイコガの雄はボンビコールのみで完全な配偶行動を発現する。一方、ボンビカールはボンビコールによる雄の配偶行動の解発閾値をあげ、行動を抑制する効果がある17)。毛状感覚子には、ボンビコールとボンビカールに高感度かつ特異的に電気的応答を示すフェロモン受容細胞が対になって入っている。これらの細胞はわずか1分子のフェロモンに対し興奮するといわれ、他の化合物にはほとんど応答を示さない17,18,22,23)。

昆虫嗅覚受容体遺伝子

バックとアクセルにより、1991年に嗅覚受容体遺伝子がラットではじめて単離され、これがGタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーに属することが示された19)。その後、魚類やセンチュウでもGPCRファミリーに属する嗅覚受容体遺伝子が単離された。

一方、昆虫においても、匂いやフェロモン受容後にGタンパク質を介した二次伝達物質であるイノシトール三燐酸(IP3)が急速かつ一過性の上昇を示すこと、嗅覚受容細胞の樹状突起膜上にIP3により開くイオンチャネルが存在すること、キイロショウジョウバエのホスホリパーゼC欠損変異体で匂い応答が減少することなどから、嗅覚受容体はGPCRであると推測された。そして1999年にフォッセルらによって、キイロショウジョウバエのゲノム解析から新規GPCRをコードする遺伝子の探索によって昆虫ではじめて嗅覚受容体候補遺伝子ファミリーDOr(Drosophila odorant receptor)が同定された20)。

さらに、2000年にショウジョウバエの全ゲノム配列が解読され、DOrファミリーは60遺伝子から構成され、62の受容体タンパク質をコードすることが示された。そのうち42遺伝子が成虫の嗅覚受容細胞で特異的に発現している。DOrの推定アミノ酸配列には膜貫通領域と推定される7つの疎水性領域があり、脊椎動物やセンチュウの嗅覚受容体と同様にGPCRファミリーに属すると考えられる。しかし、既知のGPCRのアミノ酸配列との間に保存性がないことから、昆虫は独自の嗅覚受容体ファミリーを形成しているようである。ショウジョウバエでは、個々の嗅覚受容細胞は一種類の嗅覚受容体と、例外的にほとんどすべての嗅覚受容細胞で発現するOr83の2種類の受容体を発現している21)。

一方、フェロモン受容体遺伝子は、櫻井らにより2004年にカイコガではじめて同定された22)。カイコガのフェロモン受容器は雄の触角にあり、雌は自らの放出するフェロモンに反応しない。そこで櫻井らは、雄触角cDNAライブラリーについてdifferential screeningを行い、雄触角で特異的もしくは多量に発現する遺伝子を単離することでフェロモン受容体遺伝子を得た。得られたcDNAクローンのひとつは、既知の昆虫嗅覚受容体遺伝子とアミノ酸配列に類似性を示した。このクローンはカイコガの学名にちなんでBmOR1(Bombyx mori olfactory receptor 1)と名付けられた22)。アフリカツメガエル卵母細胞にBmOR1を発現させた一連の研究から、BmOR1はボンビコールを特異的に受容し、BmGqを介したシグナル伝達系を活性化することが示された。また、BmOR1と既知の昆虫嗅覚受容体配列をもとにカイコゲノム中に29個の嗅覚受容体様の配列が見出された。それらのうち4遺伝子が雄特異的もしくは優位に発現していたが、BmOR1以外に卵母細胞発現系でボンビコールに応答する受容体はなかった22)。
 さらに、カイコガ雌の触角に、組換えバキュロウイルス感染によりBmOR1を発現させると、ボンビコールに対してのみ電気的応答を示した22)。以上の櫻井らによる一連の研究を通して、カイコガのフェロモン受容体の実体が、ブテナントがフェロモンの化学構造を決定してから、実に半世紀を経てはじめて明らかになったのである22)。


一般臭受容機構
Transduction Mechanisms of General Odor in Insects


一般の匂い

匂い物質とは、ヒトや動物の嗅覚受容系を経て匂いとして認識される分子量約300以下の揮発性の化学物質である(Touhara and Vosshall, 2009)。これら匂い物質の中で、食物、火災、外敵の存在を知らせるような環境中に存在する匂い物質が一般臭と呼ばれている(フェロモンについては、匂いの受容機構フェロモン参照)。匂い物質の大多数は親油性であり水に溶けにくいが、哺乳類や昆虫はそれぞれ異なる匂い溶解、受容機構を発達させ、匂いを認識してきた。本項では、昆虫における一般臭の受容機構についての分子機構をカイコガでの知見を交えて紹介する。

一般臭の可溶化と輸送

昆虫は、一般臭を触角に存在する嗅覚感覚子によって受容する。嗅覚感覚子は主に触角に分布しているが、キイロショウジョウバエでは少数ではあるが頭部の小顎髭(maxillary palp)や唇弁(labial palp)にも存在することが報告されている(Stange, 1992、de Bruyne et al., 1999、Kwon et al., 2006)。嗅覚感覚子は特徴的な構造をしており、表面に嗅孔(pore)と呼ばれる多数の孔が開いた構造をしている(触角参照)。感覚子の内部は感覚子リンパで満たされており、嗅覚受容ニューロン(olfactory receptor neuron; ORN)の樹状突起が存在する。ORNの細胞体は、匂い結合タンパク質(odorant binding protein; OBP、Vogt et al., 1991)やフェロモン結合タンパク質(pheromone binding protein; PBP、Vogt and Riddiford, 1981)を分泌する補助細胞(鞘生細胞、毛生細胞、窩生細胞)によって囲まれている(Steinbrecht et al., 1995、Shanbhag et al., 1999、Shanbhag et al., 2000)。ORNは双極細胞であり(Keil, 1997)、一方は感覚子リンパ中に樹状突起を伸ばし、もう一方は脳へ投射している(神経経路参照)。ORNは樹状突起上に存在する受容体が匂い分子と結合することによって興奮し、脳へと刺激を伝える。このような嗅覚感覚子はその形態と大きさから複数のタイプに分類されており(Shanbhag et al., 1999、触角参照)、各タイプごとに感覚子の匂い応答は単一感覚子記録法により観察できる(de Bruyne et al., 2001)。キイロショウジョウバエでは、ほとんどのタイプの感覚子について匂い応答スペクトルが決定されており、感覚子はタイプごとに異なる匂い応答スペクトルを示す(de Bruyne et al., 1999, 2001、Hallem et al., 2004、Yao et al., 2005、van der Goes van Naters and Carlson, 2007)。各感覚子には2-4個の異なる受容体をもつORNが存在し、感覚子の匂い応答スペクトルはこれらのORNの匂い応答スペクトルを表している。たいていの場合、一般臭を受容する感覚子は異なる匂いに様々な強度で応答するスペクトルを示す(de Bruyne et al., 1999, 2001、Hallem et al., 2004)。これらORNの応答スペクトルは、嗅覚受容体のリガンド親和性によるものであることが示されている(以下参照)。

嗅覚感覚子に吸着された匂い物質は感覚子リンパ中に高濃度で存在するOBPによって可溶化され、受容体へと輸送される。昆虫のOBPはポリフェムス蚕(Antheraea polyphemus)で初めて発見された(Vogt and Raddiford, 1981)。それ以降、40種類以上の昆虫種で単離されており、ゲノム解析により、カイコガでは44種類、キイロショウジョウバエでは51種類、ハマダラカでは57種類あると推定されている(Maida et al., 1993、Krieger et al., 1996、Pelosi et al., 2006)。これまでに単離されているOBPはアミノ酸配列の類似性に基づいて4つのタイプ(PBP、General odorant binding protein;GOBP1、GOBP2、Antennal binding protein X;ABPX)に分類される(Vogt et al., 1991、1999、Pelosi et al., 2006)。OBPは約15kDaの可溶性のタンパク質で、6つのシステイン残基が保存されており3つのジスルフィド結合をもつ(Scaloni et al., 1999、Leal et al., 1999)。立体構造については、カイコガのPBPを用いて初めてX線結晶構造解析が行われて以降、キイロショウジョウバエのOBP(LUSH)など6つのOBPについて結晶構造解析が行われている(Sandler et al., 2000、Pelosi et al., 2006)。これら結晶構造解析による結果を元に、匂い分子を結合したOBPは樹状突起膜付近の低pH領域に入ると、pH依存的にコンフォーメーションを変化させ、匂い分子をリリースし受容体へと受け渡されると考えられている(Leal et al., 2005)。

一般臭の嗅覚受容体

嗅覚受容体遺伝子は、ラットで初めて同定され(Buck and Axel, 1991)、Gタンパク質共役型受容体であることが示された(Firestein, 2001)。その後、脊椎動物ではヒト(Ben-Arie et al., 1994)、魚類(Ngai et al., 1993)や鳥類(Nef et al., 1996)の嗅覚受容体遺伝子が同定された。無脊椎動物では、ゲノム解析により線虫から7回膜貫通部位を持つ嗅覚受容体遺伝子が同定された(Troemel et al., 1995、Sengupta et al., 1996)。昆虫においてもゲノム解析が進み、現在までにキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から62種類、ミツバチ(Apis mellifera)から170種類、ハマダラカ(Anopheles gambiae)から79種類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)から131種類、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)から341種類、カイコガ(Bombyx mori)から66種類の嗅覚受容体遺伝子が推定されている(Clyne et al., 1999、Vosshall et al., 1999、Gao and Chess, 1999、Fox et al., 2001, 2002、Hill et al., 2002、Krieger et al., 2002, 2004、Robertson and Wanner, 2006、Wanner et al., 2007、Bohbot et al., 2007、Engsontia et al., 2008、Tanaka et al., 2009)。昆虫の嗅覚受容体は疎水性領域の解析から、7回膜貫通型であることが示されている。しかし、哺乳類の嗅覚受容体と比較して、昆虫の嗅覚受容体は配列の類似性が低く、DRYアミノ酸モチーフ構造のような類似配列が存在しない。また、C末端が細胞内、N末端が細胞外に位置するトポロジーをとるなど、脊椎動物の嗅覚受容体や他のGタンパク質共役型受容体とは異なり、Gタンパク質共役型受容体に見られる多くの特徴を欠くことが指摘されている(Wistrand et al., 2006、Benton et al., 2006、Lundin et al., 2007)。

昆虫の嗅覚受容体の機能同定は、アフリカツメガエル卵母細胞発現系やキイロショウジョウバエの形質転換体を用いた電気生理学実験と、ヨトウガ卵巣細胞由来のSf9細胞発現系を用いたカルシウムイメージング法により進められてきた(Wetzel et al, 2001、Stortkuhl and Kettler, 2001、Hallem et al., 2004、Lu et al., 2007、Anderson et al., 2009、Tanaka et al., 2009、Jordan et al., 2009)。昆虫の嗅覚受容体では、キイロショウジョウバエのOr43aを用いて初めて機能同定が行われた。アフリカツメガエル卵母細胞を用いた機能解析によりOr43aがベンズアルデヒドやシクロヘキサノンに応答することが示されている(Wetzel et al., 2001)。同時に報告された論文では、Or43aを異所発現させたキイロショウジョウバエ触角を用いて触角電位図EAG(electroantennogram)を行い、in vivoにおけるOr43aの応答特性を調べており、卵母細胞における応答と同様に、ベンズアルデヒドやシクロヘキサノンに応答することが示された(Stortkuhl and Kettler, 2001)。これら二つの研究により、in vivoで嗅覚受容体により匂いの受容と識別が行われていることが明らかとなった。

その後、Carlsonのグループにより、キイロショウジョウバエの形質転換体のempty neuronによる手法を用いて嗅覚受容体の大規模な機能解析が進められている(de Bruyne et al., 1999, 2001、Hallem et al., 2006)。本方法を用いて、キイロショウジョウバエの24種類の嗅覚受容体について110種類の匂い成分に対する応答測定が実施され、24種類の嗅覚受容体について機能同定が行われた(Hallem et al., 2004、2006)。また、最近では、ハマダラカの嗅覚受容体についても本方法の適用により、50種類の嗅覚受容体について応答特性が明らかにされている(Carey et al., 2010)。これら嗅覚受容体の応答特性はORNでの応答特性と同じであることが示されており、ORNの応答が嗅覚受容体によるものであることが示された。

カイコガにおいても一般臭に対する嗅覚受容体の同定が進められている。Andersonらは、Sf9細胞を用いたカルシウムイメージング法を用いて、3種類の雌に特異的に発現する嗅覚受容体(BmOR19、BmOR45、BmOR47)の機能を同定した(Anderson et al., 2009)。BmOR19はリナロールに、BmOR45、BmOR47は安息香酸に応答することが示され、これらの成分が植物由来の匂い成分であることから、産卵場所や雄の放出するフェロモンの認識に関わっている可能性が示唆されている。また、Tanakaらは23種類のカイコガ幼虫で発現する嗅覚受容体について機能解析を行った(Tanaka et al., 2009)。これらのうち、BmOR59がカイコガの食草である桑の葉に含まれるシスジャスモンに特異的な嗅覚受容体であることを示し、シスジャスモンによるBmOR59の活性化がカイコガの幼虫の食草の探索に関わることを示唆している。

昆虫では、最近、嗅覚受容体の特殊な分子メカニズムが明らかになってきた。これまで、昆虫において触角にGタンパク質が存在すること(Laue et al., 1997)、三量体Gタンパク質を介した二次伝達物質であるIP3(inositol-trisphosphate)が匂い応答時に一過性で急速に上昇すること(Boekhoff et al., 1993)、そしてIP3によって開閉されるイオンチャネルが存在すること(Stengel, 1994)などの観察結果から、昆虫の嗅覚応答はGタンパク質共役型受容体(GPCR)を介したシグナル伝達経路によって化学的なシグナルを電気的なシグナルに変換し、匂いの情報を伝えると考えられてきた(Krieger and Breer, 1999)。しかし、キイロショウジョウバエのOr83bと呼ばれるタンパク質の機能から、昆虫に特異的な嗅覚シグナル伝達機構があることがわかった。

Or83bのアミノ酸配列は嗅覚受容体と似ているものの、Or83bは嗅覚受容体としては機能しなかった。このタンパク質は昆虫種を超えて、アミノ酸配列がよく保存されている(Krieger et al., 2003、Jones et al., 2005)。キイロショウジョウバエでは、Or83bが嗅覚受容ニューロンの大多数で発現しており、Or83b欠損変異体は匂いに応答をしなかった(Vosshall et al.,1999、Larsson et al., 2003)。形質転換体キイロショウジョウバエを用いた研究から、Or83bの機能は嗅覚受容体の膜への輸送や保持であると推定された(Benton et al., 2006)。培養細胞を用いたin vitroの実験から、Or83bは嗅覚受容体とヘテロ複合体を形成していることが明らかにされた(Neuhaus et al., 2005、Lundin et al., 2007)。Or83bファミリータンパク質はカイコガでも見つけられており、アフリカツメガエル卵母細胞で性フェロモン受容体と共発現させると受容体の性フェロモンに対する応答感度が上昇した(Nakagawa et al., 2005)。その後、昆虫の嗅覚受容体では、Gタンパク質を介してシグナル伝達されるのではなく、Or83bファミリータンパク質と共にチャネルを形成し、リガンド作動性のカチオンチャネルとして機能することが明らかにされた(Sato et al., 2008、Wicher et al., 2008)。このように、昆虫において匂いのシグナルは、匂い結合型のイオンチャネルを通して、ORNにシグナルを伝達することが示された。

その他の嗅覚受容体(イオンチャネル型グルタミン酸受容体)

キイロショウジョウバエでは、一般臭に対する嗅覚受容体やフェロモン受容体のほかにイオンチャネル型グルタミン酸受容体(ionotropic receptor;IR)が嗅覚受容体として機能していることが報告されている。(Benton et al., 2009)IRは、NMDA、AMPA、Kainate受容体と類似性があるが、グルタミン酸を受容する部位が欠失しており、嗅覚感覚子(Coeloconica sensillum)の感覚ニューロンの樹状突起で発現しているという特徴がある。異所発現させた遺伝子組換えキイロショウジョウバエによる機能解析からこれらIRがアンモニア、フェニルアセトアルデヒドを含む一般臭を受容することが示されている。しかし、現在のところ、カイコガを含む他の昆虫種では未だ単離、同定されていない。


フェロモン受容機構

フェロモンについて


一般臭とは対照的に、個体から発せられ同種の他個体に特異的な行動もしくは生理的変化を引き起こす情報化学物質をフェロモンと呼ぶ(Karlson and Luscher, 1959)。フェロモンは昆虫に誘引する効果によって、性フェロモン、警報フェロモン、集合フェロモン、道しるべフェロモンなどに分類されている。この中で、昆虫の繁殖に欠かせないものが配偶行動を引き起こす性フェロモンである。性フェロモンは、1959年に初めてカイコガ(Bombyx mori)でボンビコール((E,Z)-10,12-hexadecadien-1-ol)の化学構造が決定されて以来(Butenandt et al., 1959)、現在までに、農業害虫を含む1500種以上の昆虫種で化学成分の化学構造が決定され、データベースに登録されている(The Pherobase; http://www.pherobase.com/、The Pherolist; http://www-pherolist.slu.se/pherolist.php, Byers 2002)。同定された性フェロモン成分の化学構造は多様であるが、蛾類の性フェロモン成分は化学構造が種の間で類似している(Byers, 2005)。この類似性は、蛾類の性フェロモンが蛾類に共通な2つの生合成経路で合成されている、ことに由来すると考えられている(Ando et al., 2004)。すなわち、蛾がde novo合成した脂肪酸を出発物質として生合成する経路(TypeⅠ)と、植物由来のリノール酸やリノレン酸を出発物質として生合成する経路(TypeⅡ)、の2つが知られている。前者からはボンビコールのようなアルコールやアルデヒド、アセテートなどが、後者からは直鎖炭化水素が、それぞれ性フェロモン成分として合成される(Ando et al., 2004)。本項では、このように種に特異的に生合成された性フェロモンの受容機構について紹介する。

性フェロモンの可溶化と輸送

フェロモンは、触角(antenna)上にあるフェロモンの受容に特化した嗅覚感覚子(Trichodea sensillum)によって受容される。感覚子に吸着したフェロモン分子は嗅孔を通り、感覚子リンパに入る。昆虫の性フェロモン成分は親油性が高いため、一般臭と同様、可溶性タンパク質(Pheromone binding protein;PBP)によって可溶化され輸送される(Vogt, 2003)。PBPは、これまでに多種の蛾類から単離され、性フェロモン成分と結合することが確かめられている(Pelosi et al., 2006)。PBPは性フェロモン識別の第一段階であり、性フェロモンを特異的に受容すると考えられてきた(Plettner et al., 2000、Bette et al., 2002、Maida et al., 2003)。これに対して、PBPが他種の性フェロモン成分やそれ以外の匂い物質とも結合する例も報告されている(Campanacci et al., 2001、Grater et al., 2006)。また、PBP遺伝子の嗅覚組織における発現解析をおこなって、性差は見られるものの、メスとオスいずれの触角でも発現していることが報告されている(Abraham et al., 2005、Forstner et al., 2006、Watanabe et al., 2007、Xiu et al., 2007)。これらの研究結果から、PBPは性フェロモンの特異的な受容には関わっていない、とも考えられている。
しかし、最近、キイロショウジョウバエで雄の放出するフェロモン成分であるcis-vaccenyl acetate(cVA)の受容にOBP(LUSH)が関与することが報告されている(Xu et al., 2007、Laughlin et al., 2008)。lush変異体ではcVAを受容する嗅覚感覚子の応答がなくなる一方で、部位特異変異によるLUSHの立体構造の変化は嗅覚感覚子でフェロモン受容と同等以上の応答を引き起こす。これらの報告により、受容体は性フェロモンではなく、LUSHの性フェロモン結合による構造変化を認識していることが示唆されている。しかし、現在までに、PBPと性フェロモン受容体の関係については明らかにされておらず、今後の研究成果が望まれている。

性フェロモン受容体

性フェロモンを末梢で識別している分子機構としては、嗅覚受容ニューロンで発現している受容体が第一候補と考えられる。動物の性フェロモン受容体は、カイコガのボンビコール受容体遺伝子が単離、同定されたのが最初の例である(Sakurai et al., 2004)。カイコガのオス触角で特異的に発現している遺伝子群をディファレンシャルスクリーニング法によって分離した。それらの配列解析によって嗅覚受容体候補遺伝子を単離し、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いた電気生理学実験によってボンビコールに応答することを確認した。カイコガ性フェロモンのもう1つの成分であるボンビカールの受容体も同様に同定された(Nakagawa et al., 2005)。また、オオタバコガではいくつかの性フェロモン受容体候補遺伝子が単離されており、それらはカイコガの性フェロモン受容体と同様にオス触角で特異的に発現している(Krieger et al., 2004)。最近、キイロショウジョウバエのempty neuronで受容体を発現させた形質転換体を用いて、オオタバコガのHR13が性フェロモン成分であるZ11-16:Aldに応答することが報告された(Kurtovic et al., 2007)。また、培養細胞を用いたカルシウムイメージング法を用いても、HR13の機能解析が行われている(Grosse-Wilde et al., 2007)。これまでに同定されてきた昆虫の嗅覚受容体はいずれも、1つの受容体がいくつもの異なる匂いに応答するので、リガンド特異性が低いことが共通の特徴である(Hallem et al., 2004、Carey et al., 2008)。それらに対して、同定された3つの蛾類の性フェロモン受容体は嗅覚受容体でありながら、いずれもリガンド特異性が高いことが明らかになった。
最近では、コナガ(Plutella xylostella)、アワヨトウ(Mythimna separata)、ウリノメイガ(Diaphania indica)、アワノメイガ(Ostrinia)性フェロモン受容体が性フェロモンの主成分に対する受容体が同定されてきている(Mitsuno et al., 2008、Miura et al., 2009)。これら受容体は、昆虫の嗅覚受容体の中でカイコガの性フェロモン受容体と同じクラスターに分類されることが示されている。そのため、チョウ目の性フェロモンは配列の類似した受容体により認識されていると考えられている。
性フェロモンの受容に関しては、SNMP(sensory neuron membrane protein)も関与していることが報告されている(Benton et al., 2007)。SNMPはカイコガを含む多くの昆虫種のフェロモンを受容する嗅覚感覚子に存在し、フェロモンの受容に関わることが示唆されてきた(Rogers et al., 1997、2001)。Bentonらは、キイロショウジョウバエを用いてsnmp変異体のフェロモンに対する応答を測定し、一般臭の嗅覚受容体に対する応答は変わらなく、性フェロモンの応答が減少することを示した。オオタバコガの性フェロモン受容体HR13を組み換えたショウジョウバエについても同様の結果が得られたことから、SNMPが脂肪酸由来の性フェロモンの受容機構において、PBPから性フェロモン受容体への輸送の間で機能していることが示唆されている。

フェロモン受容機構

フェロモンについて


一般臭とは対照的に、個体から発せられ同種の他個体に特異的な行動もしくは生理的変化を引き起こす情報化学物質をフェロモンと呼ぶ(Karlson and Luscher, 1959)。フェロモンは昆虫に誘引する効果によって、性フェロモン、警報フェロモン、集合フェロモン、道しるべフェロモンなどに分類されている。この中で、昆虫の繁殖に欠かせないものが配偶行動を引き起こす性フェロモンである。性フェロモンは、1959年に初めてカイコガ(Bombyx mori)でボンビコール((E,Z)-10,12-hexadecadien-1-ol)の化学構造が決定されて以来(Butenandt et al., 1959)、現在までに、農業害虫を含む1500種以上の昆虫種で化学成分の化学構造が決定され、データベースに登録されている(The Pherobase; http://www.pherobase.com/、The Pherolist; http://www-pherolist.slu.se/pherolist.php, Byers 2002)。同定された性フェロモン成分の化学構造は多様であるが、蛾類の性フェロモン成分は化学構造が種の間で類似している(Byers, 2005)。この類似性は、蛾類の性フェロモンが蛾類に共通な2つの生合成経路で合成されている、ことに由来すると考えられている(Ando et al., 2004)。すなわち、蛾がde novo合成した脂肪酸を出発物質として生合成する経路(TypeⅠ)と、植物由来のリノール酸やリノレン酸を出発物質として生合成する経路(TypeⅡ)、の2つが知られている。前者からはボンビコールのようなアルコールやアルデヒド、アセテートなどが、後者からは直鎖炭化水素が、それぞれ性フェロモン成分として合成される(Ando et al., 2004)。本項では、このように種に特異的に生合成された性フェロモンの受容機構について紹介する。

性フェロモンの可溶化と輸送

フェロモンは、触角(antenna)上にあるフェロモンの受容に特化した嗅覚感覚子(Trichodea sensillum)によって受容される。感覚子に吸着したフェロモン分子は嗅孔を通り、感覚子リンパに入る。昆虫の性フェロモン成分は親油性が高いため、一般臭と同様、可溶性タンパク質(Pheromone binding protein;PBP)によって可溶化され輸送される(Vogt, 2003)。PBPは、これまでに多種の蛾類から単離され、性フェロモン成分と結合することが確かめられている(Pelosi et al., 2006)。PBPは性フェロモン識別の第一段階であり、性フェロモンを特異的に受容すると考えられてきた(Plettner et al., 2000、Bette et al., 2002、Maida et al., 2003)。これに対して、PBPが他種の性フェロモン成分やそれ以外の匂い物質とも結合する例も報告されている(Campanacci et al., 2001、Grater et al., 2006)。また、PBP遺伝子の嗅覚組織における発現解析をおこなって、性差は見られるものの、メスとオスいずれの触角でも発現していることが報告されている(Abraham et al., 2005、Forstner et al., 2006、Watanabe et al., 2007、Xiu et al., 2007)。これらの研究結果から、PBPは性フェロモンの特異的な受容には関わっていない、とも考えられている。
しかし、最近、キイロショウジョウバエで雄の放出するフェロモン成分であるcis-vaccenyl acetate(cVA)の受容にOBP(LUSH)が関与することが報告されている(Xu et al., 2007、Laughlin et al., 2008)。lush変異体ではcVAを受容する嗅覚感覚子の応答がなくなる一方で、部位特異変異によるLUSHの立体構造の変化は嗅覚感覚子でフェロモン受容と同等以上の応答を引き起こす。これらの報告により、受容体は性フェロモンではなく、LUSHの性フェロモン結合による構造変化を認識していることが示唆されている。しかし、現在までに、PBPと性フェロモン受容体の関係については明らかにされておらず、今後の研究成果が望まれている。

性フェロモン受容体

性フェロモンを末梢で識別している分子機構としては、嗅覚受容ニューロンで発現している受容体が第一候補と考えられる。動物の性フェロモン受容体は、カイコガのボンビコール受容体遺伝子が単離、同定されたのが最初の例である(Sakurai et al., 2004)。カイコガのオス触角で特異的に発現している遺伝子群をディファレンシャルスクリーニング法によって分離した。それらの配列解析によって嗅覚受容体候補遺伝子を単離し、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いた電気生理学実験によってボンビコールに応答することを確認した。カイコガ性フェロモンのもう1つの成分であるボンビカールの受容体も同様に同定された(Nakagawa et al., 2005)。また、オオタバコガではいくつかの性フェロモン受容体候補遺伝子が単離されており、それらはカイコガの性フェロモン受容体と同様にオス触角で特異的に発現している(Krieger et al., 2004)。最近、キイロショウジョウバエのempty neuronで受容体を発現させた形質転換体を用いて、オオタバコガのHR13が性フェロモン成分であるZ11-16:Aldに応答することが報告された(Kurtovic et al., 2007)。また、培養細胞を用いたカルシウムイメージング法を用いても、HR13の機能解析が行われている(Grosse-Wilde et al., 2007)。これまでに同定されてきた昆虫の嗅覚受容体はいずれも、1つの受容体がいくつもの異なる匂いに応答するので、リガンド特異性が低いことが共通の特徴である(Hallem et al., 2004、Carey et al., 2008)。それらに対して、同定された3つの蛾類の性フェロモン受容体は嗅覚受容体でありながら、いずれもリガンド特異性が高いことが明らかになった。
最近では、コナガ(Plutella xylostella)、アワヨトウ(Mythimna separata)、ウリノメイガ(Diaphania indica)、アワノメイガ(Ostrinia)性フェロモン受容体が性フェロモンの主成分に対する受容体が同定されてきている(Mitsuno et al., 2008、Miura et al., 2009)。これら受容体は、昆虫の嗅覚受容体の中でカイコガの性フェロモン受容体と同じクラスターに分類されることが示されている。そのため、チョウ目の性フェロモンは配列の類似した受容体により認識されていると考えられている。
性フェロモンの受容に関しては、SNMP(sensory neuron membrane protein)も関与していることが報告されている(Benton et al., 2007)。SNMPはカイコガを含む多くの昆虫種のフェロモンを受容する嗅覚感覚子に存在し、フェロモンの受容に関わることが示唆されてきた(Rogers et al., 1997、2001)。Bentonらは、キイロショウジョウバエを用いてsnmp変異体のフェロモンに対する応答を測定し、一般臭の嗅覚受容体に対する応答は変わらなく、性フェロモンの応答が減少することを示した。オオタバコガの性フェロモン受容体HR13を組み換えたショウジョウバエについても同様の結果が得られたことから、SNMPが脂肪酸由来の性フェロモンの受容機構において、PBPから性フェロモン受容体への輸送の間で機能していることが示唆されている。

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