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藍浩之(福岡大学理学部地球科学科)
セイヨウミツバチのキノコ体 Mushroom Body



キノコ体mushroom body:ミツバチの学習・記憶に関しては、これまで多くの研究が進められてきている。その中枢として考えられているのがキノコ体である。キノコ体は前大脳に1対あるキノコの形をしたニューロピルであり、とくに社会性昆虫や学習能力の高い昆虫種でよく発達している。ミツバチのキノコ体は入力部位である傘部(calyx)と出力部位であるαとβの2つの葉部(α-lobe, β-lobe)、およびそれらを連絡する柄部(peduncle)で構成されている。キノコ体の内部にはケニオン細胞(Kenyon cell)と呼ばれる内在性ニューロンがある。ミツバチのケニオン細胞は、キノコ体一つあたり約17万個あり、キノコ体の独特な形はケニオン細胞の形態と配列による。ケニオン細胞の細胞体(直径4-7 mm)は傘部の皮層に密着し、その神経繊維は2又に分かれ、一方の軸索は柄部の中を下端まで走行し、そこでまたふたまたに分かれてα葉とβ葉の末端まで伸びる。また傘部で分かれた他方の神経繊維は樹状突起となる。傘部で外来性のニューロンの終末部は多数の細枝に分かれている。そして、細枝に散在するこぶの周囲にケニオン細胞の樹状突起が多数集まって、微小糸球体(microglomerulus)という単位構造をつくる。 ミツバチのキノコ体の傘部は唇部(lip)、襟部(collar)、基底環(basal ring)の3つの部分に分かれており、それぞれの部分が脳の異なる部域から入力を受ける。唇部は触角脳経路(antenna-cerebral tract)を経て来た触角葉の出力ニューロンから触角感覚情報を受け、襟部は前方背側視覚路を経由した視葉からの情報を受け取っている。一方、基底環は内側の内環状路と外側の外環状路が、それぞれ唇部と襟部へ投射するニューロンの通路となっている。基底環自体は後大脳や食道下神経節からの入力を受けていると考えられているが、その証拠はまだない。 一方、ケニオン細胞の神経繊維の束は、入力を受けた傘部の場所ごとの位置関係を崩さずに柄部に入る。柄部の中間層ではもう一つの傘部から伸びた柄部と合流するため、両端を開いて平たくなり、前方から後方の順に唇部、襟部、基底環からのびる軸索が配列されている。この配列はα葉とβ葉まで維持され、β葉ではそのまま前方から後方の順に、α葉では腹側から背側の順に対応する。 α葉とβ葉は、α葉の外側部(α-exit)やβ葉の内側基部(β-exit)から出る出力ニューロンによって脳の他の領域と連絡する。出力ニューロンは複数のケニオン細胞から同時に入力を受けながら、その軸索を前大脳側葉、視結節、反対側のキノコ体のα葉の周辺、中心体の下部付近など、主に非密集ニューロピルへ伸ばしている。またキノコ体のα葉から傘部へと信号を戻す「フィードバックニューロン」も見つかっている。 キノコ体の神経機構については、前述のケニオン細胞が小さく、電気生理学的な解析が困難であるため、キノコ体の嗅覚入力ニューロンである触角葉出力ニューロンとキノコ体出力ニューロンの応答が調べられてきた。ある特定の匂いを古典的条件付けにより学習すると、キノコ体出力ニューロンで明確な後効果(after effect)が見られることが分かっている(Mauelshagen, 1993; Okada et al., 2007)。



参考文献

Mauelshagen J. (1993) Neural correlates of olfactory learning paradigms in an identified neuron in the honeybee brain. J Neurophysiol 69, 609-625.

Okada R., Rybak J., Manz G., Menzel R. (2007) Learning-related plasticity in PE1 and other mushroom body-extrinsic neurons in the honeybee brain. J Neurosci 27, 11736-11747.


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