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セイヨウミツバチの食道下神経節 Suboesophageal Ganglion


藍浩之(福岡大学理学部地球科学科)


Rehder (1988)が複数の組織染色を行うことにより、食道神経節内の構造を精査している。食道下神経節は大顎神経分節、小顎神経分節、下唇神経分節が融合している。大顎神経分節、小顎神経分節は下唇神経分節に比べて体積が少ない。腹側領域は正中線神経束(midline tract)によってそれぞれの神経分節の境界が明瞭であるが、背側領域は境界が不明瞭である。これは、食道下神経節と脳神経節のそれぞれの神経軸が前後軸に対して90度傾いている。おそらく食道下神経節の背側領域が形態形成の過程で圧縮されてしまったためであり、前出の後大脳がミツバチで見当たらない理由もこれと同じであろう。それぞれの神経分節には片側に8つの縦走神経束がある。背側横連合の数は、下唇神経分節で6つ、小顎神経分節で5つ、大顎神経分節で3つである。腹側横連合は下唇神経分節で4つ、小顎神経分節で5つ、大顎神経分節で4つである。

食道下神経節の背側領域は中大脳背側葉と近接しており、この領域に触角のジョンストン器官からの脳内投射が存在することが分かっている(Ai et al., 2007)。最近、胸板前突起に存在する頸部器官から感覚ニューロンの脳内投射もこの領域に終末していることが明らかとなった(Ai and Hagio, 2013)。ミツバチは尻振りダンスの際、翅の羽ばたきにより蜜源への距離情報を暗号化し、尻振りダンスの際の体軸角度で蜜源への方向情報を暗号化していることが古くから知られている(von Frisch, 1967)。食道下神経節背側領域は、これら2つの感覚情報が共に投射する領域であり、尻振りダンスで暗号化される蜜源へのベクトル情報の解読に関わる脳領域の可能性が示唆されている。Ai and Hagio (2013)は、さらにこの領域の構造を精査した結果、頸部感覚器官の末梢の感覚毛の分布を反映した投射地図が存在することを明らかにした。このことは、この領域にミツバチの体軸方向を符号化する体軸地図が存在することを示唆する。この領域には多くの振動応答性介在ニューロンが分布しており(Ai et al., 2009; Ai, 2010; Ai and Itoh, 2012)、標準脳を用いた解析により、これらの振動応答性介在ニューロンが頸部器官からのシナプス入力を受ける可能性が示唆されており、現在この領域の神経回路の解析が精力的に進められている。


参考文献

Ai H, Nishino H, Itoh T. (2007): Topographic organization of sensory afferents of Johnston’s organ in the honeybee brain. J Comp Neurol 502: 1030-1046.

Ai H, Rybak J, Menzel R, Itoh T. (2009): Response characteristics of vibration-sensitive interneurons related to Johnston’s organ in the honeybee, Apis mellifera. J Comp.Neurol 515: 145-160.

Ai H. (2010): Vibration-processing interneurons in the honeybee brain. Front Syst Neurosci 3: doi: 10.3389/neuro.06.019.2009.

Ai H, Itoh T. (2012): The Auditory System of the Honeybee. In “Honeybee Neurobiology and Behaviors. (Eds.: Eisenhardt, D., Galizia. C. G. and Giurfa, M.)” 2nd ed. Springer Verlag. Berlin Heidelberg. Germany pp.269-284.

Ai H, Hagio H. (2013): Morphological Analysis of the Primary Center Receiving Spatial Information Transferred by the Waggle Dance of Honeybees. J Comp.Neurol (in press)

Rehder, V. (1988): A neuroanatomical map of the suboesophageal and prothoracic ganglia of the honey bee (Apis mellifera). Proc. R. Soc. Lond. B 235, 179-202.


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